株の注文画面で、買いたい値段を自分で決めて入力する注文(指値注文)を出すとき、「この値段は選べません」と表示されたことはないでしょうか。株の値段は、1円単位でどこまでも細かく決められるわけではなく、決められた「刻み」の間隔でしか指定できません。この刻みのことを「呼値(よびね)の単位」といいます。
この記事は、株を始めたばかりの人に向けて、呼値の単位をやさしく説明します。東京証券取引所(東証)を運営するJPX(日本取引所グループ)の公表内容をもとに、図と表を使って、次の3つが分かるようにまとめました。
- 呼値の単位とは何か
- 自分の持っている(または気になる)銘柄の刻みの調べ方
- 2027年3月1日から何が変わるのか
本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身でお願いします。
先に結論(3つだけ)
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 呼値の単位とは | 株を注文するときに指定できる、値段の刻み(間隔)のこと |
| 刻みの決まり方 | 「銘柄の区分」と「値段の水準」の2つで決まる |
| 2027年3月1日から | 区分の決め方が、指数の区分から「銘柄ごとの流動性」に変わる |
呼値の単位とは(ものさしのたとえ)
JPXは、呼値の単位を「売買の注文をする際の値段の刻み」と説明しています。
ものさしの目盛りを思い浮かべると分かりやすくなります。1ミリ刻みのものさしでは、1ミリ単位でしか長さを測れません。0.5ミリの位置は、目盛りがないので読めません。株の値段も同じで、刻みの目盛りにある値段しか、注文では指定できません。
下の図は、値段が2,000円の銘柄で、注文できる値段を並べたものです(刻みの値は、後ろの早見表のとおりです)。
【TOPIX500構成銘柄】 刻み 0.5円
2,000.0円 ─ 2,000.5円 ─ 2,001.0円 ─ 2,001.5円 ─ 2,002.0円
【その他の銘柄】 刻み 1円
2,000円 ─── 2,001円 ─── 2,002円 ─── 2,003円
同じ「値段2,000円」でも、銘柄の区分によって目盛りの細かさが違います。TOPIX500構成銘柄のほうが、目盛りが細かくなっています。この図は、刻みの意味を伝えるための私たちの例です。
刻みを決める2つの条件
JPXによると、呼値の単位は、売買の対象となる銘柄と、その値段の水準に応じて決まります。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 1. 銘柄の区分 | 「TOPIX500構成銘柄」か、「その他の銘柄」か(ほかに、売買単位が1口のETF等の区分もあります) |
| 2. 値段の水準 | いま付いている値段が、どの範囲(1,000円以下、3,000円以下…)にあるか |
「TOPIX500構成銘柄」は、JPXの表で「TOPIX100及びTOPIX Mid400構成銘柄」を指すと書かれています。私たちの説明としては、東証に上場する株のうち、規模が比較的大きい会社の株が入る区分です。自分の銘柄がどちらの区分かは、お使いの証券会社の銘柄情報や、JPXの案内で確かめてください。
早見表(現行の呼値の単位)
JPXの表から、「TOPIX500構成銘柄」と「その他の銘柄」の2つを、100万円以下の水準まで抜き出しました。出典の表と同じ数字です。
| 値段の水準 | TOPIX500構成銘柄 | その他の銘柄 |
|---|---|---|
| 1,000円以下 | 0.1円 | 1円 |
| 3,000円以下 | 0.5円 | 1円 |
| 5,000円以下 | 1円 | 5円 |
| 10,000円以下 | 1円 | 10円 |
| 30,000円以下 | 5円 | 10円 |
| 50,000円以下 | 10円 | 50円 |
| 100,000円以下 | 10円 | 100円 |
| 300,000円以下 | 50円 | 100円 |
| 500,000円以下 | 100円 | 500円 |
| 1,000,000円以下 | 100円 | 1,000円 |
JPXの表には、100万円を超える水準(300万円以下から5,000万円超まで)の行もあります。くわしくは、出典のJPXのページで確かめてください。
表の読み方(3ステップ)
自分の銘柄の刻みは、次の順番で調べます。
| ステップ | やること | 例(値段2,500円のTOPIX500構成銘柄) |
|---|---|---|
| 1 | 銘柄の区分を確かめる | TOPIX500構成銘柄 |
| 2 | 値段がどの水準に入るか探す | 2,500円は「3,000円以下」の行(1,000円を超え、3,000円以下) |
| 3 | 区分の列と水準の行が交わる所を読む | 0.5円 |
水準の境目は「以下」です。ちょうど3,000円の銘柄は、「3,000円以下」の行にあたります。この例は、表の読み方を説明するための私たちの例です。
値段が上がると、刻みも大きくなる(図で確認)
次の図は、早見表の最初の5行(値段の水準が3万円以下の部分)を、棒グラフにしたものです。数字は表と同じです。
- TOPIX500構成銘柄
- その他の銘柄
図から読み取れることは、2つです。
- 値段の水準が上がるにつれて、刻みは大きくなっていきます。
- どの水準でも、「その他の銘柄」の刻みは、TOPIX500構成銘柄と同じか、それより大きくなっています。
刻みを知っておくと役に立つ場面
ここからは、JPXの説明ではなく、私たちの一般的な整理です。
| 場面 | 刻みを知っているとよい理由 |
|---|---|
| 指値注文の値段を入力するとき | 刻みにある値段で入力すれば、迷いません |
| 値段の動き方を知りたいとき | 値段が動く最小の幅が、その銘柄の刻みです |
| ストップ高・ストップ安と区別したいとき | 刻みは「注文できる値段の間隔」、ストップ高・安は「1日に動ける幅の上限」で、別の仕組みです |
ストップ高・ストップ安については、ストップ高・ストップ安とはで整理しています。
2027年3月1日からの見直し
JPXのページには、2027年3月1日からの変更が、次のように書かれています。
「2027年3月1日からは現行の指数区分(TOPIX500構成銘柄)に基づく呼値の単位の設定から、銘柄ごとの流動性(流動性指標としてSTR(Spread to Tick Ratio)を用います。)に基づき適用する呼値の単位を決定する制度に変更します」
この文を、表で整理します。
| いま | 2027年3月1日から | |
|---|---|---|
| 刻みを決める基準 | 指数の区分(TOPIX500構成銘柄かどうか) | 銘柄ごとの流動性 |
| 流動性の測り方 | (使わない) | STR(Spread to Tick Ratio)という指標 |
| 刻みを調べる方法 | 上の早見表で、区分と値段の水準を見る | JPXの見直し後の呼値テーブルを見る |
「流動性」は、私たちの一般的な説明では、売りたい人と買いたい人が出会いやすく、取引が成立しやすい度合いのことです。STRの計算のしかたや、見直し後の具体的な刻みの数字は、この記事では扱いません。JPXのページには、見直し後の呼値テーブルと、運用の詳細を説明した資料へのリンクがあります。
見直しの前後で、同じ銘柄の刻みが変わる可能性があります。2027年3月1日以降に注文するときは、早見表ではなく、JPXの最新の案内を確かめてください。
用語のまとめ
| 用語 | やさしい説明 |
|---|---|
| 呼値(よびね)の単位 | 注文で指定できる値段の刻み(間隔) |
| 指値注文 | 買う(売る)値段を、自分で決めて出す注文(私たちの一般的な説明) |
| TOPIX500構成銘柄 | JPXの表では、TOPIX100とTOPIX Mid400に入っている銘柄を指す区分 |
| 流動性 | 取引のしやすさの度合い(私たちの一般的な説明) |
| STR | 2027年3月1日からの制度で、流動性を測る指標(Spread to Tick Ratio) |
まとめ
- 呼値の単位は、注文で指定できる値段の刻みです。ものさしの目盛りのようなものと考えると分かりやすくなります。
- 刻みは、銘柄の区分と値段の水準で決まります。早見表で、区分の列と水準の行が交わる所を読みます。
- 値段の水準が上がると、刻みも大きくなります。
- 2027年3月1日から、刻みを決める基準が、指数の区分から銘柄ごとの流動性に変わります。実際に注文するときは、JPXの最新の案内を確かめてください。
売買の時間や単位の基本は、東証の取引時間と売買単位にまとめています。
