「配当が多い会社」を選ぶとき、いまの配当額だけを見ていると、あとで減配に気づくことがあります。そこでこの記事では、三和ホールディングス(証券コード 5929)の直近10期分の決算を、8つの項目でひとつずつ点検します。
結果は、12点満点で、◎(優良)でした。必須の2項目(営業キャッシュ・フローと配当)も、得点になる6項目(売上高、純利益、営業利益率、自己資本比率、現金同等物、配当性向)も、すべて○です。
決め手は、10期のあいだ営業キャッシュ・フローがプラスで、減配がなかったことです。なお、この判定は評価日までの決算に基づくもので、読む時期によって変わります。
評価した日は 2026年11月6日 です。使った決算は、2026年3月期 までの有価証券報告書です。あわせて、その後の直近の四半期(2026年10月30日開示の決算短信)の数字も載せています。この判定は、その時点のもので、読む時期によって変わります。
どんな会社か
三和ホールディングスは、シャッター・ドアを基幹商品とする企業グループです。決算短信では、間仕切やドックレベラーなどの戦略商品と、サービス事業を伸ばす方針を示しています。目指す姿は「高機能開口部ソリューションのグローバルリーダー」です(2026年3月期の決算短信)。
8項目の結果
総合判定は ◎ です(得点 12/12)。基準の詳しい説明は、選び方の基準8項目にまとめています。
| 項目 | 結果 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 営業CF | ○ | 10 期ともプラス |
| ② 配当 | ○ | 減配なし。25→130 円 (今の株数に補正) ※有報の1株配当は記念・特別配当を含みうる。普通配当ベースは決算短信で確認 |
| ③ 売上高 | ○ | 前期比増 7/9 期、3,539億→6,607億円 |
| ④ 純利益 | ○ | 前期比増 8/9 期、171億→598億円 |
| ⑤ 営業利益率 | ○ | 最小 7.3% 最新 12.0% |
| ⑥ 自己資本比率 | ○ | 最新 63.6% (安心) |
| ⑦ 現金同等物 | ○ | 563億→916億円 |
| ⑧ 配当性向 | ○ | 最新 46.1% (連結で割り直し) 健全 |
配当の推移
1株あたりの配当は、2017年3月期の25円から2026年3月期の130円へ、10期のあいだ減配なく推移しました(今の株数に補正した数字です)。途中の2020年3月期から2021年3月期は34円で同じ水準でしたが、減らしてはいません。
配当性向(利益のうち、配当に回した割合)は、最新で46.1%でした。利益の半分以下を配当にしている形で、素材の判定は「健全」です。ただし、有価証券報告書の1株配当には記念配当や特別配当が含まれることがあります。普通配当だけで見たときの推移は、決算短信などで別に確かめる必要があります。
配当の内訳と方針(決算短信で確認)
各期の決算短信の「配当の状況」で、年間配当を確かめました。
| 決算期 | 年間配当 | 記念配当・特別配当の注記 |
|---|---|---|
| 2021年3月期 | 34円 | なし |
| 2022年3月期 | 36円 | なし |
| 2023年3月期 | 58円 | なし |
| 2024年3月期 | 78円 | なし |
| 2025年3月期 | 106円 | なし |
| 2026年3月期 | 130円 | なし |
2022年3月期から2026年3月期まで、年間配当は5期続けて前の期より増えました。この5期の決算短信には、記念配当や特別配当の注記がありません。つまり、普通配当ベースで5期連続の増配です。2021年3月期の34円は、前の期(2020年3月期)と同じ金額で、増配には数えていません。
配当の目安(配当方針)は、この間に3度変わっています。
| 期 | 配当の目安 |
|---|---|
| 2022年3月期 | 純利益に対する配当性向35% |
| 2023年3月期〜2025年3月期 | 純利益に対する配当性向40% |
| 2026年3月期 | DOE(自己資本配当率)8% |
| 2027年3月期〜 | DOE 10%(算定の基準を、自己資本から株主資本に変更) |
DOEは、会社の資本(自己資本や株主資本)に対して、1年にどれだけ配当を出すかの割合です。配当性向は利益に連動しますが、DOEは資本を基準にするので、利益が増減しても配当が動きにくい目安です。会社は、DOEに切り替えた理由を「より安定的な配当を行うため」と説明しています(2025年3月期の決算短信)。
営業キャッシュ・フローの推移
営業キャッシュ・フローとは、本業で実際に入ってきた現金の増減のことです。利益が出ていても、現金が入っていなければ配当を続けにくくなるため、この点検では必須の項目にしています。三和ホールディングスは、10期ともプラスでした。2025年3月期は769億円、2026年3月期は614億円で、2022年3月期の205億円が10期のなかでは少ない年でした。
直近の四半期
有価証券報告書より後に出た、直近の決算短信の数字です(期首からの累計)。8項目の判定は、2026年3月期 までの通期の数字によるもので、この節の数字では変わりません。
| 項目 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,174億円 | +2.6% |
| 営業利益 | 293億円 | -12.9% |
| 純利益 | 221億円 | -16.3% |
| 営業CF | 296億円 | 前年同期 286億円 |
| 自己資本比率 | 64.1% | - |
出典: 三和ホールディングス株式会社の決算短信(2026年10月30日開示)。会社のIRページで確認できます。
過去の実績から見えること
| 見るところ | 数字 | 読み方 |
|---|---|---|
| 本業の勢い(2026年3月期) | 前期比で売上高 -0.3%、営業利益 -1.8%、純利益 +3.9% | 売上高と営業利益は前の期を少し下回り、純利益だけが増えた |
| 配当と利益の伸び(2025年3月期→2026年3月期) | 年間配当 106円→130円、純利益 575億→598億円 | 配当の伸びが、利益の伸びより大きい |
| 配当性向 | 40.1%→46.1% | 利益のうち配当に回す割合が上がった |
| 営業CFの振れ | 2025年3月期 769億円、2026年3月期 614億円 | 10期ともプラスだが、年ごとの増減は大きい |
| 直近の四半期 | 前年同期比で営業利益 -12.9%、純利益 -16.3% | 利益の減り方が、2026年3月期より大きい |
DOEを目安にする方針では、利益が横ばいでも配当を保ちやすい一方で、配当性向は上がりやすくなります。次の決算で、利益の動きと配当性向の水準を確かめると、判断の材料が増えます。
読むときの注意
- この判定は、評価日までの決算(2026年3月期の有価証券報告書まで)に基づきます。読む時期によって変わります。
- 有価証券報告書の1株配当には、記念配当・特別配当が含まれることがあります。普通配当だけの推移は、別に確かめてください。
- 直近の四半期の数字は、判定には使っていません。営業利益と純利益は前年同期より減っているため、四半期の数字は節の表で確かめてください。
- 将来の業績や配当は、この記事では扱いません。会社の発表を自分で確認してください。
まとめ
三和ホールディングスは、10期分の決算を8項目で点検した結果、基準をすべて満たして◎になりました。配当は減配なく推移し、営業キャッシュ・フローも10期ともプラスでした。ただし、これは「決算の数字が基準を満たした」という意味で、売買のタイミングや今後の値動きを示すものではありません。売買の判断は、ご自身で行ってください。
数字は、有価証券報告書(EDINET。金融庁)と決算短信の過去の実績です。将来の配当を保証するものではありません。
